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医師 白阪 琢磨(しらさか たくま)

医師白阪 琢磨
(しらさか たくま)

医師 古林 敬一(ふるばやし けいいち)

医師古林 敬一
(ふるばやし けいいち)

適切な治療を受けることで
HIV陽性者の平均余命は非感染者とほぼ変わらない

白阪先生のご専門は何でしょうか?

白阪先生のご専門は何でしょうか?

白阪先生のご専門は何でしょうか?

白阪

私は感染症内科医として、HIV診療とエイズ発症日和見感染症の治療を専門としています。(独)国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター エイズ先端医療研究部長、HIV/AIDS先端医療開発センター長なども務めてきました。微力ながら日本のHIV診療体制の整備に尽力して参りました。

現在のHIV治療の状況について教えてください

現在のHIV治療の状況について教えてください

現在のHIV治療の状況について教えてください

白阪

HIV治療は飛躍的に進歩しました。以前は多剤併用療法で1日20錠以上の内服が必要でしたが、現在では1日1錠で治療が可能です。服薬アドヒアランス(※)が格段に向上したことで、多くの患者さんが血中ウイルス量を検出限界値未満に抑えられるようになりました。

また治療を継続することで、HIV陽性者の平均余命は非感染者とほぼ変わらないレベルになっています。高血圧や糖尿病などと同じコントロール可能な慢性疾患と呼べる時代になったのです。

※服薬アドヒアランス…患者さんが自身の病状を深く理解し、服薬治療の方針決定に積極的に関わり、主体的な姿勢で正しく服薬治療を受け続けること

しかし一般の方のHIVへのイメージはそうではない?

しかし一般の方のHIVへのイメージはそうではない?

しかし一般の方のHIVへのイメージはそうではない?

白阪

おっしゃる通りです。適切な治療を受けているHIV陽性者からの感染リスクがほぼゼロであるという事実は、まだ十分に知られていません。

もともとHIVは日常生活ではうつりませんが、血中ウイルス量を検出限界値未満に抑え続けると、実は、性行為でもHIVはうつりません。これは「U=U(Undetectable:検出限界値未満=Untransmittable:うつらない)」という概念で、近年のHIV治療の目標となっています。

HIV陽性者に対する差別や偏見をなくすためにも、この「U=U」のメッセージを社会に広めていくことが大切だと考えています。

「U=U」について、詳しく教えてください

「U=U」について、詳しく教えてください

「U=U」について、詳しく教えてください

白阪

かつてHIV感染症は「死の病」と恐れられ、陽性者は差別や偏見にさらされてきました。しかし、この10数年で治療は劇的に進歩しました。現在では、適切な治療を受けることでHIV陽性者の平均余命は非感染者とほぼ変わらないレベルにまで達しています。

にもかかわらず、社会の中にはまだ「HIVは不治の病」「陽性者は危険」といった誤ったイメージが根強く残っているのが実情です。

そこで近年、注目を集めているのが「U=U」という概念です。これはHIV陽性者が抗ウイルス治療により血中ウイルス量を検出限界値未満まで抑制できれば、日常生活はもちろんですが、性行為でもHIVがうつるリスクが実質的にないという科学的事実を表したメッセージです。

実際、複数の大規模研究で、検出限界値未満を達成したHIV陽性者から性的パートナーへの感染例がゼロであったことが示されました。

U=Uは、HIV陽性者がごく普通の生活を送れる時代になったという希望のメッセージであり、同時にHIV陽性者に対する差別や偏見の解消を訴える、社会に対するメッセージでもあります。

お話をお伺いしていると、HIVへのイメージが変わります

お話をお伺いしていると、HIVへのイメージが変わります

お話をお伺いしていると、HIVへのイメージが変わります

白阪

日本では薬害HIV訴訟の和解を機に、全国にエイズを診る病院としてエイズ治療の拠点病院体制が整備され、わが国のHIV診療のレベルは格段に上がりました。かっては死の病であったエイズ、HIV感染症は、今では、治療の進歩によって慢性疾患となり、通常の通院であれば、もう、拠点病院で無くとも可能な時代となりました。今や、拠点病院と密な連携をとりながら、日頃はクリニックでの通院治療がむしろ相応しいと思います。当クリニックのような“身近なクリニック”で専門的なHIV診療が受けられる環境を整備することが重要と考えています。

性感染症のエキスパート
が伝える
予防と早期発見の重要性

古林先生のご専門は何でしょうか?

古林先生のご専門は何でしょうか?

古林先生のご専門は何でしょうか?

古林

私は長年、性感染症診療に携わってきました。性感染症の患者さんを診察する中で、性感染症の予防から治療まで、総合的なアプローチの重要性を実感してきました。たによんスタートクリニックでも、性感染症に悩む方々の支えとなれれば幸いです。

性感染症の予防で重要なことは?

性感染症の予防で重要なことは?

性感染症の予防で重要なことは?

古林

性感染症の予防で何より大切なのは、セーファーセックスを心がけることです。また性感染症は無症状のことも多いので、感染に気づきにくいのが特徴です。定期的な検査も予防の一環として欠かせません。

パートナーとのコミュニケーションも大切です。感染が疑われる際は検査・治療に協力し合うことも必要不可欠ですので、オープンな話し合いができる関係性を築くことが理想的です。

性感染症が疑われる場合、どのような検査を受ければ良いのでしょうか?

性感染症が疑われる場合、どのような検査を受ければ良いのでしょうか?

性感染症が疑われる場合、どのような検査を受ければ良いのでしょうか?

古林

性感染症の検査は、感染が疑われる病原体によって異なります。主な検査方法としては、おりものの検査、血液検査、喉の粘膜の検査、尿検査などがあります。

ただ、どの検査を選択するかは感染のリスク行動があった時期や症状の有無など、患者さんお一人おひとりの状況によっても変わってきます。

当クリニックでは、医師による詳しい問診の上で、その方に最適な検査方法をご提案します。早期発見・早期治療に向けて、まずはお気軽にご相談ください。

検査が陰性だったら安心して良い?

検査が陰性だったら安心して良い?

検査が陰性だったら安心して良い?

古林

そうとは限りません。性感染症の検査では、感染初期の潜伏期に当たっていた場合、偽陰性となることがあります。つまり検査では陰性と出ても、実は感染しているというケースです。特に感染リスクの高い行為があってから間もない時期の検査では、この可能性を念頭に置く必要があります。

また感染しても無症状のまま経過し、しばらくしてから症状が出現することもあります。パートナーが感染していた場合なども含めて、一定期間を空けての再検査をおすすめしています。

このように検査のタイミングや性感染症の種類によっては、結果が確定的とは限らないのです。患者さんの中には「陰性だから大丈夫」と早合点して、再検査を受けない方もいらっしゃいます。しかし、そのために感染が拡大したり、重症化したりするリスクがあるのです。

性感染症の治療方法について教えてください

性感染症の治療方法について教えてください

性感染症の治療方法について教えてください

古林

性感染症の治療は、原因となる病原体によって異なります。それぞれの疾患に対して、ある程度標準的な治療方法は確立されています。例えば淋菌であれば、セフトリアキソンの注射が第一選択になるなど、各疾患で推奨される治療薬は決まっているのです。

ただ疾患によっては治療方法の選択肢が多岐にわたる場合もあり、また近年では薬剤耐性菌の問題から、従来の標準的な治療では効果が不十分なケースも増えています。

そのため当クリニックでは、画一的な治療ではなく、患者さんお一人おひとりの状況に合わせた“オーダーメイドな治療”を心がけています。感染症の専門家として蓄積してきた知識と経験を活かして、最適な治療薬を選択していきます。

2人の専門家が連携して
地域社会でのHIV・性感染症
診療を実践

白阪先生がHIV診療の道に進まれたきっかけは?

白阪先生がHIV診療の道に進まれたきっかけは?

白阪先生がHIV診療の道に進まれたきっかけは?

白阪

元々私は肺がんを専門とする内科医だったのですが、米国留学中にエイズ治療の最前線に触れ、HIV診療の重要性を実感したのが転機でした。

当時は有効な治療方法がなく、亡くなる患者さんが後を絶たない時代でした。何とか助けたいという思いから、HIV診療の道に進む決意をしました。以来30年以上、この分野に携わってきました。

HIV医療の進歩は目覚ましいものがありますが、差別・偏見の解消など、まだまだ課題は多いです。一人の医療者として、これからも患者さんに寄り添う医療を実践し続けたいと思います。

古林先生が性感染症診療に取り組まれるようになったのは?

古林先生が性感染症診療に取り組まれるようになったのは?

古林先生が性感染症診療に取り組まれるようになったのは?

古林

自治医科大学卒業後、大阪府立病院(現:大阪急性期・総合医療センター)での研修を経て、知的障害者施設や保健所で勤務しておりました。その後、再び知的障害者施設で長く働いていた頃、性感染症の大家である大国剛先生と出会ったのです。

大国先生は大阪市北区で「大国診療所」を開業されており、そこは当時大阪府内で数少ない、性感染症を専門的に診る医療機関の1つでした。私はそこで大国先生の下、性感染症診療について学ぶ機会を得ました。

その後、大国先生が病気で倒れられてしまったので、私が診療所を引き継ぎ「そねざき古林診療所」を開設しました。以来15年間、性感染症の予防啓発と診療に力を注いできました。

白阪先生と古林先生の出会いは?

白阪先生と古林先生の出会いは?

白阪先生と古林先生の出会いは?

古林

白阪先生とは、大阪府医師会の感染症部門の活動を通じて知り合いました。白阪先生は感染症部門のアドバイザーを務めておられて、医師向けや看護師向けの研修会で、何度か共同演者を務めさせていただく機会がありました。

また私が開設していた診療所で、HIVが見つかった患者さんを大阪医療センターへ紹介する際にも、白阪先生にお世話になっていました。

白阪

HIV感染症と性感染症は、感染経路など多くの部分で重なっています。古林先生は性感染症診療の第一人者であり、私自身も古林先生から多くのことを学ばせていただきました。

診療面での繋がりに加えて、学会活動や研修会など、様々な場で古林先生と知見を交換する機会に恵まれてきました。お互いの専門性への理解と信頼が、自然と連携へと結びついていったのだと思います。

HIV陽性者が
自分らしく生きられる
社会を目指して

最後に、ホームページをご覧の皆様へメッセージをお願いします

最後に、ホームページをご覧の皆様へメッセージをお願いします

最後に、ホームページをご覧の皆様へメッセージをお願いします

古林

性感染症は実に多様で、その症状も病気によって異なります。典型的な症状が現れる場合もあれば、ごく軽微な症状や、まったく無症状のこともあるのです。しかも、自覚がないままパートナーに感染を広げてしまうリスクも少なくありません。

ですから性的接触があって心配な時は、たとえ症状がなくても一度ご相談ください。早期発見・早期治療が何より大切です。安心して相談や検査、治療が受けられる体制を整えておりますので、安心してお越しください。

白阪

私たちがたによんスタートクリニックを開設した理由、それは患者さんやご利用者の方々に寄り添う医療を実践したいという一心からです。

とりわけHIV陽性者の方々が自分らしく生きていける社会の実現を目指しています。そのためには、身近な場所で安心して通院できる環境づくりが欠かせません。医療者として、この理想の実現に全力を尽くす所存です。

電話番号

06-6809-7650

初診
WEB予約

再診・再初診
WEB予約

診療時間

受付時間
感染症内科(※) 14:00~19:30
性感染症皮膚科
皮膚科
14:00~19:30
※白阪医師の診察は月・火の18:00〜19:30  休診日:土・日・祝日